「あのぅ……」
すると、少年の後ろから高い声がかけられた。
セドナは顔をあげ、少年は振り向く。
布をふんだんに使った大人びたドレスに身を包んだ、一人の少女が立っていた。
顔立ちはまだ幼さがある。
二十歳は超えていないだろう。
楚々とした、上品な雰囲気がする。
「なんですか?」
「先ほどからお話が聞こえたのですが、セドナというお名前が耳に入ったもので。
ええと……」
少女が二人の顔を交互に見る。
セドナが手を挙げた。
「俺だけど、セドナは」
「もしかして、ルーアン工房にいらっしゃる?」
「そうだよ、見習い」
途端、少女の顔がぱあっと明るくなった。
「まあ、嬉しい。ちょうど工房へ行くところだったの。
あなたに依頼があって」
「いっ、依頼!?」
セドナは勢いよく身を起こした。
大きな目をさらに大きく開いて、少女を凝視する。


