セドナは何も言わなかった。
黙ったまま、少年をまじまじと見つめる。
少しだけ顎を引いた。
「……お前って」
「はい?」
「おかしなことたくさん言うけど、ちゃんとしたことも言えるんだな」
「どもです」
少年はペコリと軽く頭を下げた。
セドナが小刻みに頷いて、独り言を口にする。
「そっか、そうだよな……別に変なことした訳じゃねえし。
言わなきゃ分かんねえよなあ…あいつなら尚更」
「好きってティファニーさんに伝えるんで」
「どわーーーーーーーーっ!!だから口に出すなってば!!!」
ガバッと両手を突き出して、セドナは少年を止めた。
顔がまた赤らんでいる。
少年は不満そうに言った。
「いや、でも」
「分かったから!お前の言いたいことは分かったし納得もしたから!
でもそれでも恥ずかしんだよ俺は!
だから頼むからもう口に出さないでくれよ、ホントにさぁ~」
セドナが頭を抱えてテーブルに突っ伏す。
それでも感情が収まらないのか、じたじた足を振った。


