「探している人と、覚えたい物がありまして」
「へえ、覚えたいのって、修理屋の技術か何かか?
ああ、お前にはもういらねえか。
あんだけの技量がありゃ十分だよな」
「職人の君にそう言ってもらえると嬉しいですね。
詳しくは教えられませんが、まあそんなところです」
ピッチャーを持ってきたゴーレムに注いでもらい、今度は少年が質問した。
「セドナは数ある職人の中でなぜ、飾り職人を選んだんですか?」
「ん?あー、いちばん楽しそうだったからかな」
セドナは食べかけのサンドを皿に置き、さっき購入した銀の加工部品を取り出した。
「こういう小さい金属が、宝石とくっついて一つの作品になる。
見学したとき、その作業がすっげえかっこよく見えてさ。
俺もあんな風に作りたいって思って、この世界に飛び込んだんだ。
最初はけっこう辛かったぜ。
見るとやるとじゃ随分違ってな、なかなかうまくいかなかった。
見習いの駆け出しで一日掃除とか買い出しのときもあったし、しんどかったけど……逃げないでよかった。
そんときの経験とかも今に活きているし、頑張ってきたから、今が楽しくて楽しくて仕方がねえよ」


