「お、怒るなよ!
怒るのかけなすのか、どっちかにし……え?」
怒鳴られて思わずハックはのけぞる。
だが、タンザが言った言葉を理解して、彼の顔を見直した。
目が合った瞬間、タンザはハックの方へ傾けていた身体を起こして天井を仰ぐ。
「……俺の細かくて神経質なところ、けっこうめんどくさいだろ。
先生にも先輩たちにも、もっと大らかになれって言われてるけど、ちょっと無理だ。
そういうとき、いつもはムカつくお前の大雑把さが、すっげえ羨ましく見えるんだよなー。
俺にはない取り柄だし、真似できない」
タンザはそこで息を吐いた。
束の間閉じた眼裏に、二週間かけても課題をクリアできなかったときが映る。
多分あのときからずっと、ハックは羨ましい存在でもあった。
「それにお前、初めてやることでも大抵は卒なくこなせるだろ。
俺なんて、下手すりゃ一月近くかかるのに。
そういう呑み込みの早いところも、むかつくけど羨ましい」


