少年はセドナを見つめた。
少し考え、首を振る。
「街の人は、今までもそうでしたけど。
訪れた人に必ずといっていいくらい『用事があるんだろう』と言いますね」
「はあ?だから旅したり、別の街とか村に来たりすんだろ」
「確かにそうですが、別にぼくは急ぎで来たわけではありません。
まあ、いつここを出るかも決めていませんが。
少なくとも今は暇です。
一人より二人の方が楽しいですよ。
ついでに街について教えてもらえると嬉しいですが」
セドナが数回瞬きをする。
思いもよらぬ言葉だったらしい。
少年から目をそらし、空咳をした。
「ま、まあ、そこまで言うならいいけど。
俺も一人よりは、つまんなくなんねえと思うから。
お前が暇ならついて来いよ」
「……セドナは」
「あん?」
歩きかけたセドナを見つめて、少年はぽつりと言った。
「どうして『嬉しい』と思うとぶっきらぼうな態度になるんですか?
もっと素直になってもいいじゃないですか?」
「はあっ?べ、別に、ただの買い物だろ?
野郎同士で買い物するのにルンルンするかよ!そんなの気持ち悪いだろうが!
おかしなこと言ってねえでさっさと行くぞ!」
ぶっきらぼうに言って、セドナはずんずん歩き出す。
今度は振り向かなかった。
少年はまた口をとがらせて彼の後を追った。


