ハックは反射的に、窓の方へ顔を逸らした。
見なくても、入ってきたのが誰か分かる。
同じ時期、同じ村からルースへ来た腐れ縁だ。
「……傷、痛むか?」
口調と流れる空気から、彼の怒気がぴりぴり伝わってくる。
怖いわけではないが、振り返られない。
レース生地のカーテンと眩しい光の隙間から伺える景色を見つめ、ハックは鼻の下を掻いた。
「あ、ああ……大したことねえよ」
「……そうか」
低い返答が聞こえ、次いで大股でベッドに近づく足音が耳に入った。
掛け布団がめくられる。
そして、包帯を巻いてある右足を思い切り握られた。
「ッ!!」
激痛に脳天まで一気に貫かれ、ハックは声にならない叫びを上げる。
握られた右足を抱え、涙目で睨んだ。
「ほら見ろ痛いんじゃん。
なーにが大したことねえ、だ、強がるな」
「てめえ、タンザ!
そんなことされたら痛いに決まってんだろバカ野郎!
何でこんなことするんだ!?」
「何で、こんなこと?」
タンザの眉間のシワが深くなった。
そこで初めて、ハックはとっさにタンザを振り向いてしまったことに気づいた。
後悔したが、今更戻せない。


