極彩色のクオーレ






「助かった、良かった……」



タンザが涙をにじませながら口元を緩める。


そしてそのまま、ふっと瞼を閉じて後ろへ倒れてしまった。


ごちん、と痛そうな音が鳴り、セドナが慌てる。



「お、おい、大丈夫か?」


「大丈夫ですよ、寝ているだけです」



友が助かったことの安堵で、緊張の糸が切れたのだろう。


気絶しているが、表情は穏やかだった。


ニコはタンザの腕を首の後ろにかけ、器用に背負った。


ラリマーも、傷を刺激しないようハックをおぶう。



「急いで戻りましょう、もたもたしていたら、ロアが起きてしまいます」


「ああ、早く山を降りて……って、え?


今なんつった?」



頷きかけて、ラリマーが聞き直す。


タンザたちの荷物を回収していたセドナも似たような表情を見せた。



「起きるって、ロア仕留めたんじゃないのか?」



セドナが尋ねると、ニコは眠っているロアを見遣った。


傷がふさがったのか、もう血は流れていない。



「仕留めていませんよ。


ぼくが最後にロアに打ち込んだのは、強力な睡眠薬のカプセルです」


「なんで睡眠薬なんか……」


「あのロアは、もともとここに棲んでいるんですよね?


ティファニーが噂で聞いた、ルースの近くにいるはずのない大型獣ではない。


それならむやみに殺さず、残しておくべきでしょう。


生態系を壊さないためにも」



ニコは平地を歩いているかのように、ひょいひょい岩場を下っていく。


途中で足を止め、ラリマーはその背中をまじまじ見つめた。



「……お前、意外と考えてるんだな」


「考えないとダメですからね」



『考える、とにかく……』



無意識のうちに呟いていたタンザの言葉を思い出す。


何かをするときは、いつでも考えていなければならないのだ。




特に――命を奪うときは。