タンザはじりじりとハックににじり寄っていたが、ロアが動かないと分かるや否や走り出した。
呆然としていたセドナとラリマーも、我に返ってハックのもとへ急ぐ。
追い抜かれたニコがそれに続いた。
「ハック、しっかりしろ、ハック!」
「あんまり身体を揺らすな、余計に血が出ちまう!」
ハックを抱えるタンザの腕をラリマーが押さえた。
気絶していたが、ハックの呼吸は止まっていなかった。
生きていることにタンザは安堵する。
語り師として旅をしていたラリマーは、深手の傷の応急処置を心得ていた。
ハックの右膝の上をタオルできつくしばり、繊維の目が細かい布を患部にかけ、ニコに握らせて圧迫する。
血が止まったのを確認してから、ラリマーは息をついて額の汗を拭った。
「よし、もう大丈夫だ。
あとはどこか安静にできるところに寝かして、そこに医者を呼べばいい」
「え、そ、それってどういう……」
今度はタンザがラリマーの腕を握りしめた。
指が食い込んでかなり痛いが、それだけ心配し、気が動転しているのだと分かる。
ラリマーは空いている手をタンザの頭に載せ、安心させるために笑いかけた。
はっきりと告げてやる。
「助かったぞ」


