やがてロアの後方の大岩に到着したタンザが、ニコに向かって手を振った。
よく見ると、その手にはライターを持っている。
ニコも工具をしまって振り返し、手板を操作した。
何をつくったのか確認しようとしてきたラリマーを押しのけ、照準を定める。
残りの火薬の量、風、狙いまでの距離を瞬時に計算し、咆の角度を決めた。
手板を動かし、発砲する。
砲弾は弧を描いてタンザの斜め前、先ほどニコが撃った岩のさらに上にある岩の足元に当たった。
岩がぐらりと揺れ、斜面を転がり始める。
同時にタンザも、導線に点火して岩陰から飛び出した。
「ばっか、何考えてんだよ!」
セドナが真っ青になって叫んだが、タンザは足を止めなかった。
自分に迫ってくる岩にロアが気づき、ニコたちに背を向けて走り出す。
食らいついて止めようと、跳躍してがばりと口を開けた。
(今!)
タンザは踏ん張り、水筒を思い切り投げた。
力を入れすぎたせいで、投げたと同時に足を滑らせて転倒する。
けれども水筒はくるくると回転しながら、真っ直ぐにロアに迫っていた。
岩に歯をつきたてようとして生じた岩と口の端のわずかな隙間に、水筒が滑り込む。
ロアがまた口で岩を止め、着地した。


