驚くほどの跳躍であっという間に戻り、ロアが尾を鞭のようにしならせる。
尾に弾き飛ばされ、タンザはニコたちのところまで吹っ飛んだ。
ロアが岩にかじりついていなければ、確実に喰われていたところである。
それも計算のうちでセドナは実行したが、それでもひやっとした。
次から博打のような作戦は立てないようにしよう。
「くそっ!どうしたらハックを助けられる……!?」
タンザが目を吊り上げてロアを見る。
「とにかく、攻撃して気をこちらに向けさせるしかありませんね」
「ロアは攻撃的な状態になっていても、餌を認識したらそれを守る習性は変わらないからな。
厄介なことこの上ないぜ」
ラリマーは鼻をこすると、再びナイフを投げ出した。
セドナも加勢する。
しかしどれも頭部で弾かれ、胴部を狙ったものは尾で防がれてしまった。
尾に痛点はないのか、ロアに異変は見当たらない。
いたずらに時が過ぎていくばかりだ。
痛む背中をさすり、タンザはロアとハックを睨みつけた。
先程から、ハックの声は聞こえていない。
最悪な想像が目の前にちらつく。
(どうすれば……考えろ、考えろ……)
『考えるんだ、とにかくな』
自分のものではない、記憶の中の声が脳内にこだました。


