拳が微かに震えている。
肩にもかなり力がこもっていた。
――チリ。
少年の左胸が、また熱くなった。
ヒーラーは紙袋を自分の作業テーブルに移した。
「これは没収よ。
あと、その作業はもういいから、買い出しに行ってきてちょうだい。
コレ、メモとお金」
「………はい」
唇を噛み、渡されたメモと財布をしまって、セドナはそこから離れる。
姿が見えなくなってからヒーラーは、つ、と少年を睨んだ。
「アンタも行くのよ」
「え?」
「『え?』じゃないわよ!
アンタが来たせいでセドナちゃんの作業が止まっちゃったのよ、分からない!?
営業妨害で訴えられても、文句言えないわよ!」
「ああ、それはすみませんでした」
「すまないと思うなら、アンタも買い出しに行きなさい!
ぼさっとつっ立ってないで!!」
「分かりました」
半ば強引に、ヒーラーに押し出される形で、少年も外へ向かった。
(怪我を見ても、何も言いませんでしたね、あの人)
そんなことを思いながら。


