傷口をごつごつした岩場にぶつけたせいで、ハックが苦しそうに呻く。
「ハック……」
「バカ、行くな!」
駆け出しかけたタンザの腕を掴み、セドナはロアを睨みつけた。
タンザはどうにか振りほどこうともがくが、そう簡単には離されない。
「離せ、ハックを助けねえと」
「だから落ち着けバカ!
今突っ込んで行っても、ロアに食われるだけだ!
ハックから引きはがして、その隙に助けるしか方法はない」
「引きはがすって、どうやってだ!?
そんなことチンタラやってたら、ハックが失血死しちまう!」
「じゃあ考えろ!」
苛立たしげに怒鳴って、セドナはまたピンを投げた。
振り向こうとしたロアの側頭部にあたったが、弾かれてしまった。
ロアはぴたりと動きを止めたが、何もないようにすぐ動き出す。
口の周りをハックの血で汚した顔を見た瞬間、投擲した右腕から脳天にかけて悪寒が駆けあがった。
「なんだあいつ……ピンを、弾き飛ばした?」
試しにもう一度投げたが、結果は同じだった。
知っている情報と異なる光景に、セドナの頭は混乱する。
「どういうことだ?
ロアは、側頭部を攻撃されたら怒って餌から離れるんじゃないのか?
というか、どうして刺さりすらしないんだよ、いちばん弱い部分のはずだろ!」
「俺が知るかよ、そんなこと!」


