それは錆びた鉄の臭いである。
旅の途中で、自分の手で発させたり、先に通った誰かが残したりと、場合は様々であるが。
あの臭いしか考えられない。
ニコたちは岩山の輪郭に沿って走り続け、やがて臭いの原因を見つけた。
「うっ……!」
ラリマーが片手で鼻を覆う。
ニコの『嫌悪』の針も、わずかにうずいた。
そこは夥しい量の血があり、その上には食い荒らされた肉塊や肉片が転がっていた。
衣服などといった人工物が見当たらないので、おそらく獣だろう。
血にまみれてよく分からなかったが、分厚い鱗のような皮膚を発見した。
おそるおそる近づき、ラリマーがその皮膚を観察する。
石と見間違えたが、折れた鋭い爪も近くに落ちていた。
「鱗状の肌に、鋭い爪。
これは……毛か?色は青かな……血のせいで分からねえ」
「ラリマー、ラリマー」
何かを見つけたのか、ニコがしゃがみこみ、後方にいるラリマーに手招きする。
「なんだ……うっ!」
そこにあった物を見て、思わずラリマーは顔をしかめた。


