「あー、こんなぶっ続けで走ったの、何年ぶりだ?
飾り職人は身体がすぐなまるから、こういうのってけっこう応えるんだよな」
「オレも、旅の最中はいかにして体力を温存するのかばっかり考えていた。
旅での全力疾走なんて、自殺行為以外の何者でもねえぞ」
キュー
頭上から何度も耳にしたことのある鳴き声が降ってきた。
羽で空気を叩きながら、黒いテガミバトがラリマーの肩に留まる。
細い足に、紙切れがくくりつけてあった。
ラリマーがそれを外すと、使命を全うしたのか、テガミバトは返事を待たずに空へと戻っていく。
「誰からですか?」
「知らないテガミバトだ。
でも多分、キマーダさんかボルダーさんだと思うぜ。
えっとなになに……」
紙を広げようとしたラリマーの後頭部を、セドナが膝で突いた。
「んなもん読んでる場合か!
行くぞ、あいつらもう登り始めた!」
見るとさっきまで寝ていたはずのタンザたちが、いつの間にか凹凸の激しい岩肌にくらいついていた。
セドナとニコが後を追い、紙をしまったラリマーが遅れて岩山へ近づいた。


