「あらっ、アンタまだいたの!?
用が済んだなら、とっとと帰ってちょうだい!
セドナちゃんもだめでしょお~、いつまでも居させたら!」
「……すいません」
「って、何、その紙袋?
なんか食べ物の匂いがするけど気のせい?」
ヒーラーが匂いを嗅ぐ。
ツカツカと作業机にちかより、紙袋を掴んで中を見た。
「パン?」
「ぼくが持ってきました。
宿の女将さんからです」
少年の言葉を無視して、ヒーラーはセドナを叱った。
「アンタ、まさかワタシが仕事してるのに休憩するつもりだったの!?
見習いのくせに、いいご身分ねぇ~」
「そういう訳では」
「じゃあ、どういうワケなの?
また口答えするの?」
弁解しようとしたセドナを、ヒーラーの冷たい声が遮る。
言葉を飲み込んで、セドナは視線を外した。
「……いえ、何でもありません」


