先を行くタンザたちがバテてきているのか、徐々に距離が縮まっていく。
それにつれて、声も聞こえてきた。
こんな状況でも口ゲンカは勃発しているようだ。
「……おい、ハック、そろそろ、疲れたろ。
歩いても、いいん、だぜ」
「はっ、バカも、休み休み、言え。
てめえが、歩きゃ、い、だろが」
「んだと、お前みてえな、もやしと、一緒に、すんなっ」
「お前こそ、もやし、じゃねえか、ボケ」
「お前にだけは、言われた、ねえ、くそハック」
「その言葉、そのまんま、返してやんぜ、くそタンザ」
聞いているだけで疲れてくるケンカである。
セドナが走っていることによる疲労だけでなく、別の理由でげんなりとした。
「なんだよ、あいつら……幼稚にも、程があんだろ」
「セドナ……」
ラリマーは名前を呼ぶだけで言葉を終わらせた。
『気にしたら負けだ』、その一言を言うのだけでもかなり苦しい。
疲れるという概念をそもそも持たないニコだけが、表情を変えずに走り続けていた。


