やっぱり、とセドナが呟いた。
もう一度空咳をして、キマーダが東の方角を指差す。
「この先に、パビリオ山があるのは知っているな?」
「はい!」
「もちろんです!」
タンザたちは元気よく答えたが、ギャラリーの中には分からない様子の者が何人かいた。
ボルダーが面倒そうに解説する。
「標高はそこまで高くはない岩山だ。
あそこはロアっつう獣が棲み処にしているが、この時期はおとなしい。
危害を加えなければ、人間なんて小動物と同じように無視する」
「ロアって、どんな獣ですか?」
参加しない職人の中から、一本腕が挙がった。
ボルダーがそちらをじろっと見、ぶっきらぼうに答える。
「そんくらい自分で調べろ、バカ者」
「は、はい」
「まあ、腹を空かしていたら無視してくれるかどうかは分からないけど、危険だと思ったらすぐに逃げて来いよ」
キマーダがにっこり笑った。
この職人はなぜこうも楽しそうに、恐ろしいことを口にできるのか。
凍りつく空気を無視して、キマーダは人差し指を立てる。


