ティファニーが深く俯き、手だけでなく肩まで震わす。
夕食のときに話したことと共通する部分はない。
だが何か、ほんの些細なことがきっかけとなって、思い出してしまったのだろう。
彼女の傷に爪を立てる記憶を。
「……ごめんね、こんな暗いこと、話しちゃって」
「いえ……こんな辛いことを話してもらえて、ぼくは嬉しいです。
君に信頼してもらえているようで」
その『辛い』がどれほどのものであるか、ニコには分からない。
だがティファニーは主だから、彼女からもらった”心”の針を介して、彼女の気持ちはなんとなく察せられる。
それに、大切に想う相手をある日突然失う苦しさも、彼は味わっていた。
もう過ぎた話ではあるけれど。
「……みんなのこと、疑っているわけじゃないよ。
セドナは職人だし、ラリマーは独りでいろんなところを旅していたし。
ニコは強い武器を持っているし。
でも、それでも時々ね、ふと思っちゃうの。
みんなにもし何かあったら……そんなの、絶対に耐えられない」


