「あ、うん、平気だ。
……お前、治療とかも得意なのか?」
「いえ、こういった簡単な手当しか。
やろうと思えばできるのかもしれませんが、難しいですね。
人間だけでなく生物の体は、物とは異なりすぎますから、その分だけ治す方法も違います。
導線のように血管を、パーツのように筋を、というわけにはいきませんし。
内臓なんかは、壊れてしまえば替えがありませんもんね」
セドナは腕を引っ込め、眉間にシワを刻んだ。
「気持ちの悪い言い方すんなよ。
それに、当たり前だろ。
物と同じに考えたら死んじまうぞ」
「そうなんですよね。
この技術がなかなか活かせなくて何だか勿体ないんです」
「勿体なくねえから、活かさなくていいから、むしろ活かすな」
「セドナちゃぁ~ん。
頼んでいた作業、終わったかしらぁ?」
接客スペースの方から、ヒーラーの声と足音が聞こえる。
「げ、来た」
セドナは急いで、髪留めをポケットにしまう。
作業場に入ってきたヒーラーは、少年を見て目を剥いた。


