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リビングの方で、微かな物音がした。
ニコは目を開けた。
部屋は暗く、窓から差し込む月光に照らされた時計が、日付が変わって二時間ほど経った時刻を示している。
こんな夜中に、何の音だろうか。
以前のように、鍵を閉め忘れた窓から動物が入りこんでいて、部屋を荒らされていては困る。
軽く身体の関節を動かしてから、ニコはそろそろと廊下に出た。
足音を立てないように歩く。
薄闇に眼をこらすと、閉めたはずの、リビングへと通ずるドアが細く開いているのに気づいた。
(まさか、こんな森の中に建っている家にわざわざ泥棒が?)
可能性は否定できない。
ニコは手板に手をかけながら、そうっとドアを押した。
すぐ視界に入った、狭いテラスに誰かがいる。
ティファニーだ。
テーブル用の椅子をそこに出して座り、空を見上げている。
膝の上から垂れ、夜風になびいているのは彼女の目隠しだろうか。


