「キャー、セドナくんがティファニーちゃん泣かした―。
可愛い顔してるくせにこーわーいぃ~」
ラリマーが笑いをかみ殺しながら窓の方を向き、わざと高い声をだす。
セドナが勢いよく椅子から離れ、ラリマーの胸倉を掴んだ。
「うるせえ!なにが『くん』だ、なにが『ちゃん』だ!
なにが『こーわーいぃ~』だ。気色悪いにもほどがありすぎるぞ!
元凶のてめえにだけは言われる筋合いはねえ!」
「あ、元凶じゃなければ言われてもいいんだ」
「はぁっ!?」
「おいニコ聞いたか、元凶じゃないお前なら言っていいらしいぞ、怒れ」
怒鳴られてもいたずら小僧のようにラリマーがにやっと笑う。
それまで静観していたニコが、セドナの背中をじっと見つめて口を開いた。
「……ぼくの主人を泣かせるなんて、最低ですね、セドナ」
氷点下の眼差しに、氷点下の声色。
記憶した心が増えた影響なのか、以前よりも感情の表れが大きく、視線は更に凍てついていた。
言われたセドナだけでなく、ラリマーまで硬直してしまう。
「に、ニコ、そんなに怒らなくても大丈夫だよ?
私、泣いていないからね?」
十数秒の沈黙を挟み、おどおどとティファニーが怖がりつつ言う。
するとニコは温度を通常に戻した。


