「申し訳ない。俺はハックの師であるボルダーだ」
「あ、初めまして、ぼくはニコです。
こちらの赤毛がラリマーで、あちらの小柄な方がセドナです」
「チビって言うんじゃねえ」
紹介が気に入らなかったセドナが、ニコの脛を軽く蹴る。
吹き出したラリマーには、あとで一発お見舞いすることにした。
「話は、この二人の口ゲンカの大声で全部聞いたよ。
ここで立ったままというのはあれだし、周囲の視線もある。
とりあえず、俺の作業場へ来てくれ。
弟子たちの失態のお詫びをさせて欲しい」
「それはありがたいんですが、俺たち、先にタンザの店に行くって約束したんで……」
おずおずと言ったセドナに、ボルダーが優しげに笑ってみせた。
「俺の店とキマーダ、タンザの師匠の名だが、その店は入り口と売り場が違うだけで、作業場は同じ広い建物を使っているんだ。
つまり、俺の店はキマーダの店でもあり、キマーダの店は俺の店でもある。
だから心配せんでついてきてくれ。
ハック、タンザ、その荷車はお前たちが運べ、いいな?」
「はい……」
「うっす……」
2人はよろよろ立ち上がり、痛いのを我慢して荷車を運ぶ。
ボルダーが先頭を歩いているとき、目が合った瞬間「フン!」としかめっ面で顔を背け合うのを、傍にいたニコとセドナは見逃さなかった。


