極彩色のクオーレ






「いやだね、名乗りもせずいきなり売れなんて言ってくるやつになんか売るかよ」


「あ、悪い、うっかりしていた」



青年が小さく肩をすくめる。



「俺はタンザ、この先にあるネジ屋で働いているネジ職人だ」


「ネジ、ですか」


「そうそう」


「なぁんかパッとしない商売相手だな。


ま、候補として考えといてやるよ」



ラリマーがうるさそうに手を振って、荷車を押し出した。


それをタンザが慌てて止める。



「ぱ、パッとしないって何だよ!


ネジは職人にとっていちばん大事な必需品だろ?


何も不当に安く売れってなんて言ってない。


あんたらが納得する金額をちゃんと払うから、まあ俺みたいな貧乏職人だけじゃ無理だけど……。


でもウォルフィンなら先生が見ても買うの許してくれると思うし、払うのを手伝ってくれるだろうから。


なっ、だから頼む!話だけでもいいから」



タンザが顔の前で両手を合わせた。


ため息をつき、ラリマーはニコに視線を向ける。