後ろから声を掛けられる。
周りに誰もいないから自分たちだろうと、3人は振り返った。
明るい金髪が目立つ青年が、手を振りながらこちらへ駆けてくる。
「ん?オレたちに用か?」
「ああ、さっきちらっと見えたんだけど……その荷物、ちゃんと見せてくれないか?」
「何でだ」
「いいですよ」
ラリマーを遮って、ニコは荷車に掛けていた黒い布をめくった。
いくら何でも街中で獣の死骸を堂々と持ち歩くのは良くないと、ティファニーに渡されたのである。
その青年はウォルフィンを見るや否や、顔を輝かせた。
「やっぱりウォルフィンだ!
すごい、実物を見たのは初めてだ……。
なあ、なあ、これはどうするつもりなんだ?」
「持っていても仕方ないので、部品加工職人の誰かに売ろうと思いまして」
「売り先は決まっていないのか?
それなら、俺に売ってくれないか?」
青年はニコの肩をたたき、自分を指さす。
すると彼が答える前に、布をかけたラリマーが唇を突き出して言った。


