昼食を済ませて(1名にとっては朝食だが)、ニコたちは荷車を押して街へ向かった。
セドナはラリマーに言われてから『嫌だ』と断り続けていたが、結局ついでに仕事に必要な部品を購入するため、2人に同行することにした。
実を言えばニコ1人でも運べるのだが、手伝ってくれる2人に悪いので言わないでおく。
本人は自覚していないが、こういったところが徐々に人間に近づいていた。
街の中央部に暮らす老婆のところへ置時計を届けてから、南部の部品加工区画を目指す。
荷車が通れる幅の人気の少ない道を選んでいくが、昼過ぎの時間帯だからどこも人が多い。
「セドナ、どこかで迂回できるルートはありませんか?」
「急に言うなよ、俺この辺あんまり来ないから詳しくねえのに……」
文句を言いつつも、セドナは記憶を巡らせて自分の居場所を把握する。
三叉路に差し掛かり、少し細いけれどあまり人が使わない道の方へ進んだ。
油の臭いがわずかにする。
部品を加工するために使う重機械を動かすものだろうか。
やがて、作業着に身を包んだ男たちが行き来する、太い通りに合流した。
うまく行ったと、セドナが嬉しそうに指を鳴らす。
「ドンピシャ、区画のすぐ傍。
滅多に来ない場所でも楽な道選べるなんて、俺って」
「おーい、ちょっと待ってくれ!」


