ティファニーが口元をほころばせる。
それも、彼女がずっと気がかりだったことであった。
自分のことのように嬉しく感じてしまう。
「ちょいちょい、オレに労いの言葉はないのか、ティファニー?」
途中で走るのを止めたラリマーがセドナを押しのけ、ティファニーの頭に手を置いた。
「ラリマーもお帰り。
レムリアンのために寝不足になるまで調べてくれて、本当にありがとうね」
「いやあ、それほどでもあるけど」
「嘘つけ、ちっとも役に立ってなかったくせに」
おどけた調子で照れるラリマーの横で、セドナが水を差す。
ラリマーはセドナの頭を鷲掴もうと腕を伸ばすが、すんでのところでセドナがその手首を握った。
ぐぐ、と押し合いの状態になる。
「シナワニを倒すときに少しは役に立ったじゃねえかよ。
お前こそ、ニコに武器を造ってもらわなかったら、何にも出来なかったくせに」
「実際は闘えたんだからいいじゃねえか。
それに、俺は蜻蛉花を見つけたんだぞ、丘に行かなくても」
「結局アレ部品にしないで、レムリアンがほぼ自力でリビアとのわだかまり解消しただろ?
蜻蛉花なくても大丈夫だったんじゃねえのか?」
「よく言うぜ、『使わないならよこせ』って、リビアに殴られるまでしつこくせがんでいたのに」


