満身創痍の二人を乗せた馬車を見送って、ニコたちはクラウンの森へ歩いた。
陽が暮れてしまい、名残惜しそうに茜色が西の端に広がっているこの時間帯、街灯のない森の道は薄暗い。
どこかで気の早い梟が、夜の訪れを待ち望むかのように鳴いていた。
「あれ」
セドナが歩きながら目を凝らす。
暗くてよく見えないが、道標の曲がり角のところに誰かが立っている。
それが誰か気づくや否や、セドナとラリマーが走り出した。
「ティファニー!」
重なった二人の呼び声に、そこで待っていたティファニーは弾かれたように顔をあげた。
先に到着したセドナが、彼女の手をしっかりと握り、帰りを知らせる。
「お待たせ、すっかり遅くなっちまった」
「お帰り、セドナ。みんな全然帰ってこないから心配しちゃった。
リビアとレムリアンは見つかったの?」
「ああ、2人ともちょっとケガしていたけど、治るから問題ねえよ。
今頃、仲良く乗っている馬車が家に到着しているはずさ」
「レムリアン、またリビアのゴーレムに戻れたんだね」


