極彩色のクオーレ






大きく見開いたリビアの瞳から、涙が伝っていく。


端が血でにじむ口元を緩め、リビアはレムリアンの胸板に額を当てた。


これまで見たことのない主の行動に、ゴーレムは少なからず驚いてしまう。



「……ほんっと、あんたがあたしの造ったゴーレムだなんて信じられない」


「リビア、それハ」


「バカ、変な勘違いしないでよ」



レムリアンの言葉をさえぎって、リビアは彼の背中に腕を回した。


服の亀裂に指先が触れ、表皮の部分まで壊れていることを理解する。



「ゴーレムは造主に似るって話。アレ、嘘だね。


あたしに似たゴーレムが、こんなに優しいはずないもん。


まったく、どこで覚えてきたのかしら……」



レムリアンが悲しまないように、そう思って、ずっと彼に冷たくしてきた。


自分のことを嫌って、他の誰かのもとで幸せになれるように。


けれどもそれは、レムリアンを傷つけてしまうことにしかならなかった。


何より、自分自身がそれを望んでいなかった。


彼に自覚があるかは分からないが、レムリアンはリビアが気づかないふりをしていた彼女の望みを見抜いていたのだ。



いつか自分が死んでしまうその日まで、彼にそばにいてもらいたいという願いを。