極彩色のクオーレ






「れっ、レムリアン!大丈夫?」


「すまなイ……こレを」



腰を着いたレムリアンは大事そうに持っていたある物をリビアに差し出す。


一輪の蜻蛉花だった。


透明な花弁が日光を吸いこみ、レムリアンの両手に水面のような影を落とす。


リビアは彼の顔と花を何度も交互に見てから、その花を潰れないよう怖々受け取った。



「きれい……」



思わず呟いてしまう。



「これを探しに、ここへ来たの?」


「蜻蛉花とイウ花ダ。


これヲ部品として使えバ、そのゴーレムは模した生き物ニ近づけるらシイ。


ワタシに使ってクレ。


そウすれば、ワタシは君ノ望むゴーレムにナれる」



リビアは蜻蛉花を持った手を腿に置き、俯いた。


返す言葉が見つからなかったのだ。



(こんなにボロボロになって……動けなくなるくらい壊れちゃうまで探してくれてたなんて。


これが嘘だなんて、そんなの、言えない……)



黙したままの主人をレムリアンが不思議そうに見つめる。


それから、蜻蛉花の根を支えている手を包んだ。



「辛いノカ?」


「……っ」



リビアは微かに肩を震わせただけで何も答えない。