「あー、痛ってえ。
でも水ぶくれできなくて助かったぁ~。
作業ができなくなっちまったら……」
戻ってきたセドナは、作業机に座る少年に気付いて立ち止まった。
首をひねりながら近寄る。
気配に気づき、少年はセドナの方に顔を向けた。
「あれ?お前、確か昨日宿にいた……」
「お邪魔しています。あ、これ直しておきましたよ」
「え?」
セドナは差し出された、ほとんど冷めた半田鏝を受け取る。
ぱっと見ではよく分からないが、錆がなくなっている変化だけは認識した。
「すみません。鉄の錆具合がひどかったので、あちらの鉄くずを勝手に使いました」
少年は『ゴミ』の付箋がついた箱を指差す。
「中の導線がかなり古くなっていました。
溶けている部分もありましたし、多分そこから漏電したのでしょう。
グリップは変えないでおきましたが、よかったですか?」
「ど、どうも。……すげえ」
セドナは新品同然になった半田鏝を眺める。
「えっと、金は?」
「お代はいりません。ぼくが勝手にやったことなので」
「……まじで?」
「はい」


