「あ゛ぢっ!!」
セドナが叫びながら立ち上がった。
勢いで椅子を蹴倒し、大きな音が響く。
「ってぇ~」
どうやら火傷をしたらしい。
右手の指先を手袋ごと口に含みながら、隅にある洗面台へ走る。
蛇口を思い切りひねり、流水に手をさしこんだ。
使っていたであろう半田鏝は転がさず鏝台に戻してあり、手袋を外していなかったので、これ以上の大きな被害は無さそうだ。
慌ててはいながらも、きちんと冷静に対処している。
「だーくそっ、電気漏れたのか?
あの修理屋、あんだけ金取っときながら仕事手え抜きやがったな。
火事になったらどうしてくれんだよ……」
十分に指先を冷やして、セドナは奥の部屋に向かう。
少年は彼の作業机の半田鏝を見た。
細かなパーツ同士を接合している最中に、漏電して負傷したのだろう。
まだ熱を帯びてはいるが、修理に支障はない。
天井から電線を抜いて、少年は修理にとりかかった。


