作業場は接客スペースよりも広く、物に溢れかえっていた。
研磨機と重機械が二台ずつ、壁に沿って置かれている。
装飾品を収納している棚もいくつかあった。
そのほとんどが依頼品らしく、『完成品』というタグが箱にくくりつけられている。
中央にある大きな作業テーブルには、多くのメモ書きや書類が半分を占め、残り半分には作業途中の装飾品と部品、小さな工具が転がっている。
すぐ傍には誰かの名前が書きこまれた設計図があるので、おそらくヒーラーの作業場だろう。
奥には扉があり、『Rouen』と書かれたプレートがはめ込んである。
あそこは療養中という工房長・ルーアンの自室のようだ。
天井からぶら下がる何本もの黒い電線を見ながら歩いていると、片隅にある小さな机にかじりつく背中を見つけた。
セドナだった。
雑多に置かれた工具や家具に追いやられるような格好で、作業に没頭している。
黒い電線はそのテーブルの上にもあり、彼の手元まで伸びていた。
はんだ付けの作業をしているのだろうか。
「セド……」
バチンッ!
少年が話しかけようとしたとき、何かがはじける音がした。


