途端、ヒーラーの声のトーンが大きく下がった。
露骨に嫌そうな表情を浮かべる。
冷やかしだと思われたのだろうか。
「セドナちゃんなら奥にいるんじゃないのぉ?見習いだし。
探して来ればあ?
あっ、アンタ、飾り職人じゃないでしょうね!?
他の工房からウチの技術を盗みに来た」
「違います、ぼくは修理屋です」
はっきり述べたが、ヒーラーは遠慮なく疑念の眼差しを向けてくる。
細い目をさらに細めて睨みつけ、やがてフンと鼻を鳴らした。
「ふぅ~~~ん?まあ、それならいいけど。
店の物、勝手に触ったりじろじろ見たりしたら承知しないわよ!
分かったわね!?」
「あ、はい」
ぶつぶつ文句を並べるヒーラーに背を向け、少年は藍色の暖簾をくぐった。


