忙しかったら口調くらい悪くなると、ヒーラーはむくれながら続ける。
セドナは何も言わない。
ズボンを握って、必死に耐えている。
「まぁ~ったく、ワタシじゃなかったら、問答無用で追い出されているわよ、あんた。
でもまあ、そんな野蛮なことはしないわ。
今回は大目に見て許してあげる。
分かったならホラ、さっさと作業に戻んなさい」
ヒーラーが眉を歪めて手を払う。
しっしっと言わんばかりの態度だ。
セドナは無言のまま、暖簾の奥へ消える。
ガンッ!!!
怒り任せに何かを蹴りとばす音が飛んできた。
ヒーラーの薄い肩がビクンと跳ねる。
「び、びっくりしたぁ~、んもう、暴力的ね。
自分の思うようにいかないからって、八つ当たりするなんて野蛮すぎるわ。
あんなだから……うん?」
入口の方を振り向いたヒーラーは、そこで初めて、新たな訪問客がいることに気づいた。
「えっと、お邪魔しています」
視線が合い、少年はぺこりと頭を下げる。


