客を見送ったヒーラーが工房に戻る。
彼は少年ではなく、弟弟子を見た。
打って変わって、冷え冷えとした光を目に宿している。
「あらぁ~?どうしたの、セドナちゃん?」
「……ひどい、っす。
お客さんに、あんな言い方するなんて」
うつむきかけ、ズボンの裾を強く握り締めながら、セドナは震える声を発した。
泣いているのではない。
激情をどうにか抑え込んでいるのだ。
それを知ってか否か、ヒーラーが神経を逆撫でするような口調になった。
「あらっ、ひどいって何のことかしらぁ~?
ワタシ、嘘なんてついていないわよ??」
「嘘って、あの言い方は」
「じゃあ、なに?
あんた、ワタシにこれっぽっちも迷惑かけてこなかったの?
ルーアン先生に一回も怒られずに、ここまでやってこれたぁ?」
セドナがぐっと息詰まる。
チャンスとばかりにヒーラーは畳み掛けた。


