心を込めて作ります、と、ヒーラーは客に深く頷いてみせた。
少年はヒーラーを見ていたが、ふと、暖簾の隙間からセドナが二人を睨んでいるのに気づいた。
唇をきゅっと結び、目を細め、眉間に深くシワを寄せている。
しかし、客の視界には映っていないようだ。
彼に背を向けるヒーラーも当然、気づかない。
――チリ。
少年の左胸がじわりと熱を帯びた。
「君も大変だな。
工房長の代わりに切り盛りしなければならないうえに、難しい後輩の世話もあるとは」
「いえいえ、カワイイ弟分のためなら頑張りますよぉ」
ヒーラーの笑い声が高くなる。
力を込めすぎて、暖簾の裾を握るセドナの手が白くなった。
帽子を被り、客が外に出ていく。
ヒーラーも手前の通りまでついて行った。
「それじゃあ、また来る。
評判のいい君の作品を、楽しみにしているよ」
「ありがとうございますぅ。
お待ちしていますねぇ~」


