「みゅー」
今まで敵視していたデシンが、甘えた声を出してギベオンに寄った。
噛みつかず、ギベオンの手の甲をなめる。
「わっ、な、なんだよ、いきなり……
さっきまであんなに敵意丸出しだったのに」
「みゅうっ」
もう一匹の灰色のコルルが、ギベオンの肩にとびのった。
首元に身体をすりつけ、好意を示している。
ギベオンがぎこちない表情のまま硬直し、されるがままになる。
力加減が分からないのだろう。
そんな様子の彼らを見て、ケセラは自分の口に触れた。
『ありがとう』
伝えられた。
言葉にすることで、その気持ちがより一層強くなった。
緊張したけれど、表に出したら、胸の奥でつかえていた何かがとれた。
(言えた……。ずっと、意見を言うのが『怖い』って思ってたギベオンに、言えた……)
ケセラは左手で胸をさすった。
もう一度、唇をきゅっと真一文字にむすんでギベオンを見る。
「ギベオン」
「なに」
「本当に、僕のこと……嫌いじゃない?」


