極彩色のクオーレ






ケセラはうつむいたまま、デシンを抱く腕に力をこめた。


みゅう、とデシンが主人を心配するように鳴く。


ギベオンの言葉が胸に刺さって痛む。



『素直になってください』


『一つの感情だけで、すべてを見ないでください』



ニコに言われたその一言が、耳の奥で響いた。


しばらく目を閉じ、草と血の匂いが混ざる空気を肺に送る。



「……ぎ、ギベオン」


「あ?なんだよ」



デシンの歯で穴が開いてしまったベストをつまんで、ギベオンが苛立った様子で答える。


その声にケセラは少し怯えたが、意を決してギベオンに目を向けた。



「ごめん……でも、ありがとう」



唾液のまみれたベストをハンカチでこするギベオンの手が止まった。


ニコもセドナも、作業を中断してケセラを見つめる。


離れたところから、ティファニーも二人のやりとりを伺った。



「……ありがとうって、なに、お前。


暴言吐かれるのがご褒美なの?


え、お前ってそういう趣味だったのかよ」


「ち、違う……そういう意味じゃ」


「はあ?じゃあ、どういう意味なんだよ。


はっきり言えよ、根性なし」