「いってえ……ベストがボロボロだ。
ったく、なにすんだよ、ケセラのくせに!」
ギベオンに怒鳴られ、デシンたちが牙を向いて唸る。
ケセラは首をすくめて、弱弱しく謝った。
「ご、ごめん、ギベオン……」
「なにが『ごめん』だ、ふざけんな!
お前は褒めたやつにこんなことをして返すのかよ、クソ野郎が!!
お前みたいなとんでもないやつ、やっぱり褒めなきゃよかったよ!
ほんっと、最低だな」
荒々しい言葉をぶつけられ、ケセラがうつむき、泣きそうな表情になる。
強く結んだ口元がふるふると震えていた。
ニコは罠の解体をしながら二人の様子を見つめて、不快そうに顔をしかめた。
(ギベオンもケセラと同じだ、自分の感情に蓋をしている……。
本当に思っていることと逆のことを言っている。
どうしてみんな、自分の気持ちに素直になれないんだろう。
そんなことをしたら、変な勘違いが生まれて、お互いが傷ついてしまうのに)
「ぎべ……」
「ニコ」
上から名前を呼ばれて、ニコは顔を向ける。
枝にまたがり網の縄をほどこうとするセドナが、人差し指を唇にあてて首を振った。
声掛けをするな、というサインだ。
ニコはうなずき返して作業に戻る。


