――ヒュッ
セドナの頬を何かがかすめる。
コツンッ!
「あいたっ」
それはその先ではにかんでいたケセラの額に命中した。
ケセラは両手で赤くなったおでこを押さえて、痛そうにうずくまる。
さっきとは異なる意味の涙がにじんだ。
いつの間にか枝の上で仁王立ちしているギベオンが、右手で小さな木の実を遊びながら言った。
「なーにをいっちょ前に照れてるんだよ。
一度成功したくらいで調子に乗んなよ、何度も成功してからにしろ。
職人ってのはそういうもんだろ?」
「ギベオン、お前なぁっ!」
ギベオンが投げた木の実を拾って、セドナが素早く投げる。
しかし、ひょいと首を傾けるだけでかわされてしまった。
「だって、職人が自分で何かを新しく考えて、それを作ることなんて当たり前だろ?
修理屋のニコはともかく、飾り職人のセドナも、刺繍屋のティファニーも、原案を出しただけで先生とかに『よくできました』って褒められたことあるの?
ボクは一度もないよ、だってそれが当たり前だもん。
でも、ケセラはそんな程度のことを褒められて満足できちゃうんだぁ、恥ずかしいやつ」
「おまっ……」
拳を握り締めたセドナを抑え、ティファニーがやんわりと首を振った。


