極彩色のクオーレ






突如現れた大型獣に、ファセット地層の傍にいた小動物や小鳥が蜘蛛の子を散らすように逃げる。


キマイレナは弧を描いて草むらに落ち、緩やかな坂をごろごろと転がっていった。


太く背の高い木だけが点々と並ぶところまで、無抵抗で運ばれる。


キマイレナが通った後、その勢いのすごさを表すかのように枯れ葉が空へと弾んだ。


樹齢五百年相当、この場で最も荘厳な大樹にのぼって様子をうかがっていたセドナが、後方の木の枝に隠れるギベオンに叫んだ。



「来たぞ、ギベオン!」


「おっしゃあ!」



タイミングをはかり、ギベオンが紐を思いきり引く。



バシュッ!!



敷き詰められた枯れ葉が跳ね、その下から無数の網が口を縮めた。


上からも網が降ってくる。


その中心に転がり込んだキマイレナは、あっという間に拘束された。


赤茶色の網が何重も飲みこみ、獲物の姿を覆っていく。


静かになったとき、キマイレナは輪郭だけしか分からない状態になっていた。


黒い体毛や尾も視認できない、異様な光景である。


網の端が固定されている木の枝に食いこみ、囚われたキマイレナが振り子のように揺れ動くたびにギシギシと耳障りな音を鳴らした。