極彩色のクオーレ






(来た……キマイレナだわ)



入口の光が微かに見える奥で、ティファニーはこくりと息をのんで耳に神経を集中させた。


ティファニーはキマイレナが歩いている道の上にはいないので見つかりにくいが、それでも心拍数が上昇していく。


この洞窟は奥へ進めば進むほどさらに広く深くなっており、ひんやりと冷たい。


まだニコの準備が終わっていないのか、下から作業音が聞こえてくる。


それに混ざり、キマイレナの足音が忍び寄ってきた。


ティファニーは集めた小石を一つ持ち、入口の方へ向かって投げた。



――カツン



乾いた音が響く。


すると、キマイレナの足が止まった。


しばらくの間を挟み、また進む。


もう一度ティファニーが石を投げて音を立てると、キマイレナがまた止まった。


3個目の石を投げても、やはりキマイレナは足を止める。



(本当だ……視界の悪い場所では、キマイレナは音に警戒して移動が遅くなる。


ニコの言っていた通りだわ)


それからもティファニーは石を数回投げ、その度にキマイレナは進むのを止めた。


知能はそこまで発達していないため、『音が鳴っても何も起こらない』という学習が出来ないからだ。


その性質を利用して、ティファニーはひたすら時間を稼ぐ。


3分の1ほどの小石がなくなり、キマイレナの気配が近づいてきたとき、後方からひそめられた足音が聞こえた。