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ルースの北部に広がるシオードの森、その中で罠から逃れたキマイレナが歩いていた。
時折立ち止まって鼻をひくつかせ、ギョロリと目を動かす。
その後ろには、血の跡が点々と残っていた。
左側の三番目の脚、虎挟みの傷から血が流れている。
しかしキマイレナは気にしていないようで、ひたすら獲物を探していた。
「ガルルルル……」
キマイレナが地面から鼻を離し、前方を見据える。
そこにはファセット地層が横たわり、洞窟が大きく口を広げていた。
狙っている獲物の臭いは、あの奥から漂ってくる。
キマイレナはゆっくりと洞窟に忍び寄った。
中にはたくさんの臭いが充満している。
だが、キマイレナの発達した嗅覚に、この程度の誤魔化しはきかない。
獲物の臭いを嗅ぎとることはたやすかった。
キマイレナは暗闇のなかを見回し、獲物が逃げないと確信しているのだろう、奥へとじりじり進んだ。
その音だけが、洞窟に反響する。


