「君は人、複雑で豊かな心を持っているんです。
ですから、もっと他の心を使って、目の前にあるものを見てください」
「え……"人"って?」
「ぼくも10個の"心"を持っていますけれど、これだけでは足りませんから」
ニコが顎の付け根の合成樹脂膜をつまみ、めくる。
そこには内蔵された機械があった。
ケセラが目を丸くして、カタカタと回る歯車やクランクを見つめた。
驚きのあまり、声も出ない様子である。
「多分、キマイレナはここに来ます」
「えっ!?」
「そ、そうなの?」
ティファニーとケセラの声が響き、数匹のコルルがピクリと跳ねる。
めくった合成樹脂膜を直し、ニコは立ち上がった。
「ギベオンのあの罠では、ずっとあそこに縛り付けているのは難しいでしょう。
ケセラの臭いを追って、この洞窟まで来るはずです。
あのキマイレナです、簡単な仕掛けでは捕まえられないでしょう」
「じゃ、じゃあ、どうするの……?」


