極彩色のクオーレ






「そ、そんなこと……僕、思って、ない」


「いえ、違いますよ」



薄荷色の双眸に見つめられ、ケセラの潤んだ目が伏せがちになった。


デシンが再び、彼の腕からぴょんと飛び降りる。


空になった両手で胸の辺りを押さえるケセラを見ながら、ニコは続けた。



「これはぼくの勝手な憶測ですが、コルルたちは進んでこの洞窟に隠れに来たのではないのでしょうか?


君にデシンの話を聞いてから、少しだけですがコルルについて調べました。


彼らは近くに危険なものが迫ると、暗くて狭い場所に身を潜める習性があります。


その習性で隠れた場所が、たまたまギベオンの秘密基地だった……そう考えるのが自然です。


本当に独り占めするつもりなら、檻にでも閉じ込めて脱走されないようにしているはずですからね」


「え、だ、だけど……」


「ケセラ」


先ほどよりもゆっくり名前を呼んで、ニコはケセラの頬を挟み、上を向かせた。


唇をゆがめるケセラの顔を覗きこむ。


その視線があまりに真っ直ぐで、きれいに澄んでいて、ケセラは思わず逃げ出したくなったが、ニコの両手がそれを許してくれなかった。



「自分の感情に素直になってください。


確かにギベオンは、ケセラに山ほど意地悪なことをしてきたのかもしれません。


でも、その心だけですべてを判断してはいけません。


……でないと、大切なものが見えなくなってしまいますよ」



ニコの言葉を聞くたびに、ケセラの左胸の奥がちくちく痛んだ。


締め付けられるような苦しさに、呼吸が浅くなる。


涙が溢れ出てくる。


どうして痛んでいるのか、どうしてこんなに苦しいのか、彼自身も分からない。