「にに、ニコさん!?やめてよぉ……」
デシンを抱きしめ、ケセラが涙目になってニコを見上げる。
よくよく見ると、人形には瞳がなかった。
確かに、薄暗い中でこれを見るのはけっこう怖い。
「あ、すいません。
ふうん、どうやらここは、ギベオンの秘密基地のようですね」
「そっか、だからギベオンはここに逃げろって言ってくれたのね。
意地悪なことばかり言うけど、いい奴じゃん。
……だけど、どうしてコルルがこんなにたくさん集まっているのかしら」
黒毛のコルルを抱いて、ティファニーは天井に顔を向ける。
ケセラが俯き、消え入る声でつぶやいた。
「やっぱり……」
「うん?」
ニコは唇をとがらせて首をかしげた。
「やっぱり、コルルが森からいなくなっちゃったの、ギベオンのせいだったんだ。
みんなが……僕が困ることを分かってて、秘密基地にコルルを隠したんだ。
ギベオン、意地悪だから……だから、さっきは助けてくれたけど、本当は僕が困っているところを見て笑ってるんだよ」
「けせ……」
「ケセラ」
ティファニーより早く、ニコが動いた。
ケセラの前に片膝をつき、彼と目線の高さを合わせる。
「どうして、心を背けるんですか」
「え……?」
「君は分かっているんでしょう、ギベオンがコルルを隠しているのではないということを。
それは事実とは異なるということを」


