「とりあえず、中に入りましょう」
シャー、とデシンがニコを見上げて警戒する。
逆にケセラは眉を下げ、不安そうにした
「え?だ、大丈夫なの?
ギベオンの言うことなんか信じて……」
「今はそうするしかありませんよ。
キマイレナは君を狙って来るだろうし、ここにいた方が危険です」
「……それ、さっきセドナも言ってた。
どうしてティファニーじゃなくて、僕なの?」
ケセラがさらに泣きそうになる。
彼の背中を支え洞窟へ進みながら、ニコは説明した。
「キマイレナの特徴の一つです。
彼らは嗅覚が発達していますが、記憶力はさほど優れておらず、複数の臭いを覚えることはできません。
なので大きいものよりも、確実に捕まえられる小さいものを獲物として認識し、優先して臭いを覚えるんです。
小動物を主な餌とするのは、そういったところが大きいですね」
「だから、いちばん背の低いケセラを狙っているの?」
「恐らく、そう考えて間違いないでしょう。
キマイレナは餌と決めたもの以外は見向きもしませんからね」
かなり深さがあるのだろうか、入口に立つニコの声が響く。
奥に無数のぼんやりした光が見えた。


