淡々とギベオンは言った。
二人に背中を向けているので表情はうかがい知れない。
特に顔色も変えず、セドナが時計塔を見上げた。
ちらとでも暗い雰囲気にならないのは、似たような境遇をもつからか。
「誰もいない、か……。
おいニコ、お前が直してやったら?
修理屋の本領発揮だぜ」
「修理屋?」
ギベオンが訝しげにニコを見た。
ニコはギベオンに視線を投げてから、セドナの提案に答える。
「今、ギベオンが誰にも直せないって言ってませんでしたか」
「ああ、言ったよ。
ボクだって直してみようかと思ったけど、構造がめちゃくちゃ複雑で諦めたんだぞ」
「なんで直せないことを威張って言うんだよ」
「威張ってなんかない」
膨れっ面になり、ギベオンがぷいとそっぽを向いた。
「それは時計職人でも修理屋でもねえこいつが見た感想だ。
でも、専門家のお前ならできるんじゃねえの?」
「あまり複雑だと難しいですが」
「お前、この間倒木の下敷きになって腕が潰れたとき、あっという間に直してたじゃねえか。
しかもあの左腕、仕込みナイフまで完璧だったぞ。
時計塔よりお前の合成樹脂膜の下の方が複雑な構造をしてるって」


