極彩色のクオーレ






「な、なんだ。何でこれがここにあるんだ?」



ギベオンを壁に押し付けているのは、人の手を模した大きなぬいぐるみだった。


抜け出そうともがくが、吸盤が強力なためびくともしない。


工具をしまって、ニコはそちらへ寄った。



「あれ、何か見覚えが……。


これもギベオンが造ったんですか?」


「違うよ!いや、違くないけど。


ボクはこの道にこの仕掛けは置いてないぞ!?」


「はっはっはっ!引っかかったな、ギベオン!」



悪役じみた笑い声をあげながら、キャスター付きの荷台を押したセドナが現れた。


荷台にはこれまた大きなバネが乗っている。


どうやら、この手を飛ばしたのは彼のようだ。



「よくも工房の前にこんなもん仕掛けやがって!


ニコが居てくれたから良かったものの、下手したら俺遅刻してたぞ!」


「ああ、今朝のですか。


どうりで見覚えがあると思いました」



工具の修理のため、ニコはセドナの家に泊まっていた。


クォンタムのところへ行く前にルーアン工房の重機の調子が悪いので見てほしいと頼まれ向かっていた途中、この巨大な手にセドナが捕まったので助けたのだった。