結局独りで帰ることもできず、小柄な職人は2人のあとを追いかけた。
背高の職人にからかわれたが、口を開かず歩くことだけに集中する。
どれだけ進んだだろうか、先頭の長髪の職人が何かに気づいた。
「おい、見てみろよこれ」
そこには熟れた実が転がっていた。
よく見ると小動物が食べた形跡が残され、うっすらとだが足跡もある。
そして少し離れた場所にはフンがあった。
嬉しそうに背高の職人が膝を叩く。
「よっしゃ、コルルのフンだ」
「ようやくか……よし、この辺りに罠を仕掛けよう」
コルルは子育ての時期を除いて、エサを住処へ持ち帰らない。
見つけたエサを、その場に置いたまま少しずつ食べる習性があるのだ。
実はまだ半分以上残っている。
つまりコルルが来る可能性が高い。
「お前ら、穴を掘ってくれ」
「わかった。……あ、やべ。スコップ1本しかない」
「それ、俺が使う」
小柄な職人が取り出したスコップを、隣にいた背高の職人が横取りする。
「ずるい、持ってきたのは俺だぞ」
「うるせえ、先輩に譲れ」
「先輩って1ヶ月しか違わな……ったく、しょうがねえな」


